初等ギリシャ語・ラテン語の学校文法にかんしては日本語で読める教科書が大量に存在します。まずは水谷『古典ギリシア語初歩』や有田『初級ラテン語入門』などを読み込むとよいでしょう。大学シラバスにのっているような信用のあるものなら正直どれでもよいです。自分の体験と他人に教えた経験にもとづいていうと、基本的な語形変化や語法にかんしては他人による指導のもとでゼロから学習するのでは遅々として進まず、らちがあきません。独習による集中的な詰め込みによって最初の山を一気に越えるほうが効果的だと思います。たとえば1か月と期間を決めて何周も読む、裏紙に何度も書きくだすなど。 とはいえ教科書の記載事項を100%マスターする必要があるかといえば、そうでもありません。なんでもそうですけど完璧主義が必要になる局面と、完璧主義が邪魔になる局面ってありますよね。このあたりは完璧主義にならないほうがよいです。7、8割の理解が得られたならば、アンソロジーなどに進んで「読みながら覚える、復習する」かたちに切り替えたほうがストレスがないような気がします。要するに、大体のかんどころを嗅ぎ分けられるようになれば、あとは辞書や文法書をひきながらテクストを読み、語形変化や基本的な文法事項の知識定着を図れるので、初歩にこだわり過ぎる必要はないということです。あと、例文を音読する習慣をつけてください。 以下では古典研究界隈で定番な文献を中心に列挙していきたいと思います。西洋古典研究の中心は当然ながらヨーロッパとアメリカなので、残念ながら (?) 英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、それからスペイン語などのリテラシーがあることが前提ですが、文学作品ではなく専門書なので (出現可能性の高い語彙数が限定されてくるので) 慣れれば何語であってもなんとかなります。 ・Liddell, H.G., R. Scott, and Jones, H. S. (1940) A Greek-English Lexicon . 9th ed. Oxford. ・Glare, P. G. W. (ed.) Oxford Latin Dictionary . 2nd ed. Oxford. ・Smyth, H. (1956) Greek Grammar ...